この記事でわかること
「支給日在籍」型の会社に勤めている方が、ボーナスの受給要件を満たしつつ社会保険料も節約できる退職日を、具体的な数字で確認できます。
前提条件
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 就業規則 | 支給日に在籍する者に支給 |
| 月給(額面) | 30万円 |
| 賞与 | 年2回(夏:6月30日支給、冬:12月30日支給) |
| 賞与係数 | 各2.0ヶ月分(1回60万円) |
| 社会保険料率 | 約14.5%(健康保険+厚生年金の本人負担概算) |
結論
目標の賞与を受け取ったら、翌月1日退職が基本戦略です。
理由は2つ:
- 支給日に在籍しているので賞与を満額受給
- 翌月1日退職なら、退職月の社会保険料が発生しない(月末在籍を回避)
ケース別の試算
ケースA: 夏の賞与だけ受け取って退職
| 退職日 | 夏賞与 | 冬賞与 | 社保回避 | メリット合計 |
|---|---|---|---|---|
| 6月29日 | ✗ | ✗ | — | 0円 |
| 6月30日(支給日) | ○ | ✗ | 6月社保は発生 | +600,000円 |
| 7月1日 | ○ | ✗ | 6月分回避 +43,500円 | +643,500円 |
| 7月31日 | ○ | ✗ | 7月分発生 | +600,000円 |
最適: 7月1日退職 — 賞与60万円+社保回避4.3万円 = 約64.3万円のメリット
ケースB: 夏と冬の賞与を両方受け取って退職
| 退職日 | 夏賞与 | 冬賞与 | 社保回避 | メリット合計 |
|---|---|---|---|---|
| 12月29日 | ○ | ✗ | — | +600,000円 |
| 12月30日(支給日) | ○ | ○ | 12月社保は発生 | +1,200,000円 |
| 12月31日 | ○ | ○ | 12月社保発生 | +1,200,000円 |
| 1月1日 | ○ | ○ | 12月分回避 +43,500円 | +1,243,500円 |
最適: 1月1日退職 — 賞与120万円+社保回避4.3万円 = 約124.3万円のメリット
ケースC: 冬の賞与だけ受け取って退職(夏は済)
| 退職日 | 冬賞与 | 社保回避 | メリット合計 |
|---|---|---|---|
| 12月29日 | ✗ | — | 0円 |
| 12月30日 | ○ | 12月社保発生 | +600,000円 |
| 1月1日 | ○ | +43,500円 | +643,500円 |
なぜ「翌月1日退職」が有利なのか
社会保険(健康保険・厚生年金)は、月末日に在籍している場合にその月の保険料が発生します(健康保険法第156条)。
- 12月31日退職 → 12月分の社保が発生(月末在籍)
- 1月1日退職 → 12月は月末不在籍 → 12月分の社保が発生しない
月給30万円の場合、社会保険料の本人負担は約43,500円/月。退職日を1日ずらすだけでこの金額を節約できます。
注意点
退職届の提出タイミング
退職届を出しても在籍は継続しています。「支給日に在籍」の要件は、退職届の提出日ではなく退職日で判定されます。つまり、支給日より前に退職届を提出しても、退職日が支給日以降であれば受給対象です。
有給消化との組み合わせ
賞与支給日の翌日以降を最終出社日とし、残りの有給を消化してから退職日を迎えるのが理想的です。例えば:
- 12月30日: 賞与支給(最終出社日)
- 12月31日〜: 有給消化期間
- 1月1日: 退職日
有給消化と買取の違い・金額の考え方は → 有給は消化?買取?退職前の最適な使い方
退職後の手続きも忘れずに
退職日が決まったら、健康保険の切り替え手続きも確認しておきましょう。任意継続・国保・扶養の3択で月額保険料が大きく変わります。
詳しくは → 退職後の健康保険はどれが安い?
あなたの条件で計算する
上記は月給30万円・賞与2.0ヶ月の例です。あなたの実際の条件では金額が変わります。
よくある質問
Q. 支給日が土日の場合、前倒しされたら在籍要件はどうなる? A. 支給日の前倒し(金曜日支給など)は実務上よくあります。在籍要件は就業規則の「支給日」に対して判定されるため、前倒し日に在籍していれば通常は受給対象です。ただし、就業規則で「実際の支給日」と明記されている場合は要確認です。
Q. 退職届を出したら賞与を減額されることはある? A. 退職予定者の賞与減額は実務上ありえます。裁判例では大幅な減額は違法と判断されるケースもありますが、「将来の貢献期待分」の減額は一定程度認められる場合があります。
Q. 支給日在籍型で退職日を1日間違えたら? A. 支給日前日に退職してしまうと、賞与全額(数十万円)を失う可能性があります。退職日は支給日以降に設定することが重要です。
